確実に役立つ研修
毎年， 新人研修の合間に青年会が開催する研修として「リーガルカウンセリ
ング研修」というものがあります。
簡単にいえば， 法律に関する相談を受ける立場にある我々の姿勢や話法を
身につける研修です。この研修を受講すれば, 受講直後から効果が顕著に
あらわれ， 劇的な進歩がみられる・・・ようなことはありません。
しかし， 仕事をしていくうえで， 折に触れてこの研修で学んだことを想起し，
実践するように心がけることで， おそらく相当な効果を期待していいと思い
ます。
これから特別研修等を受講される方には, この「リーガルカウンセリング研修」
の受講をお勧めします。
ちょっとだけ内容を・・・
研修は， 司法書士が相談者の話を聴取し， そのニーズを把握して解決案を
提示するような流れでロールプレイング方式により行われます。
おそらく多くの方が躓くのは「聴く」という点ではないかと思います。
「傾聴」できるかどうか， 「共感」を示すことができるかどうかなどハードルは
いくつもあります。 最大のハードルは相談者の感情をどう受けとめるか，と
いう点かもしれません。
講師が提示する様々な手法を使って上手に聴取し， それを整理してわかり
やすく答える。これを学ぶのです。
私が参加した昨年は， みていると， 講師が示す手法を使ったかどうかという
点にとらわれて会話がギクシャクしたり， 話があらぬ方向に進みそうになる
ケースがありました。
慣れていないから当然です。 ここでうまくやろうとする必要はなく, この研修
で自分の聴く姿勢と話し方を見直すことができれば， それが聞き上手・話し上
手への第一歩になるので， 失敗を恐れる必要はありません。
私の場合
実は, 私自身にとっては， この研修は「確認の場」でした。
前職では日々がリーガルカウンセリング研修です。しかも，依頼者からの相談では
なく賠償金をめぐる争いが中心です。 管理職になると部下の対応に関するクレー
ムへの対応もそれなりにあります。 手法がどうのうこうのという前に， 実戦で鍛え
られてしまうため， その際に身につけた手法が研修内容に合致しているかどうか
を確認する機会にしたのです。
また， たまたま危機管理の専門家と話す機会に恵まれ， その方とのディスカッシ
ョンを通じて修得した手法にかんしても， 司法書士業務に十分過ぎるくらい使える
ことを確認できました。
企業勤務時代の私は難しいとされるような交渉やクレーム処理に習熟するには約
５年を要しました。 「リーガルカウンセリング研修」を受講される方は， そのノウハ
ウのエッセンスを数時間で手に入れることが可能です。
以上から「リーガルカウンセリング研修」は非常に役立つことを自信をもって断言
する次第です（勿論，受講者の姿勢次第でもありますが）。
尤も， 県司法書士会が主催したある研修の外部講師は「リーガルカウンセリング
研修」で習う手法を否定していました（これは休憩時間に私が質問して発覚した
のであって， 受講生一般に対しておかしな講義をしたわけではありません）。
ご本人にはおそらくそういう知識やノウハウがないのだろうと思います。 講師を
選ぶ際の人選は慎重に， ということです。ついでに書くと， この講師はほかにも
間違えをいくつかおかしていましたが， 恥をかかせてはいけないので， 研修中に
指摘するようなことはしませんでした。
★ 映画「仁義なき戦い 頂上作戦」で梅宮辰夫演ずる岩井と対決しているマイトガイ小林旭演ずる武田。
交渉が最も緊張し，かつ白熱する場面で見ごたえがあります。