写真のチョウはクロコノマチョウ Melanitis phedima です。
幼少時、私はこのチョウに仄かな憧れを抱いていました。
派手で美しい翅をもっているわけではありません。
どちらかといえば地味です。
秋型は翅の裏面が枯葉模様。
林内で地表にとまっていても目立ちません。
小さな子供が好みそうにはない種です。
でも、ジャノメチョウの仲間としては大型。
しかも、枯葉に化けている。
こういう点をいたく気に入っていたのです。
普通種なのに、実家近辺で出会うことはありませんでした。
25歳で初めて採集し、妙に感動したものです。
その後、宮崎県に住んでからは、すっかり「普通種」扱いしました。
クロコノマチョウの幼虫の中に迷チョウであるウスイロコノマチョウの幼虫を探したり。
クロコノマチョウの扱いは雑になっていったかもしれません。
でも、子供の頃の憧れは今も胸の中に生きていました。
各地で出会うたびに喜びと安心感を覚えたのです。
私が住む糸島市でも見かけます。
今回は自宅敷地内で出会いました。
秋型の個体ゆえ枯葉模様の裏面のはず・・・ですが、ちょっと違います。
この個体は非常に黒い!
というように個体差は千差万別。
枯葉模様も色々なのです。
私は、クロコノマチョウとウスイロコノマチョウの標本をそれなりに持っています。
採集したり飼育した結果がこうなりました。
季節型の発生時期や食草、あるいは越冬についてかなり調べたのです。
コレクションしたいわけではありません。
法律を生業にする身でいえば、捜査過程において
「捜索・差押令状」
を執行したようなものです。
今年も何度か出会ったクロコノマチョウ。
また飼育してみようかな、と思っています。
ススキやジュズダマが好適な食草です。
食痕を頼りに探せば、幼虫は簡単に見つかるでしょう。