福岡県糸島市 司法書士 ブログ

ちゃんちゃらおかしい

日本司法書士会連合会は、家事代理権の獲得を目指すそうです。

また、司法書士が代理人と務めた簡裁事件に関する上訴審の代理権も獲得したいそうです。

私は、この方針を読んで「はぁ~?」と声を出してしまいました。

冗談としてはちょっと話が大きすぎるーこう感じたのでした。

 

なぜか?

家事代理権とは、家庭裁判所において当事者の代理人として活動する権利です。

離婚調停や遺産分割調停などの代理人をやろうというのです。

司法書士が、です。

これは壮大な夢に終わる可能性が強いと思います。

1 家事事件はそれなりに報酬を得ることができます。日弁連が同意するわけがない。

2 そもそも司法書士が積極的に代理人をするとは思えない。

理由はこの二点です。

1については、

「でも簡裁代理権については日弁連も同意したじゃないか」

という指摘を受けそうです。

そりゃそうだよ、だって簡裁事件は報酬面で恵まれないからね。

ハッキリ言えば「ペイしない」んだもん。

弁護士ならこう言い放つでしょう。

「ペイしない」事件について司法書士にやってもらえるなら、その方がいいくらいだぜ。

上記したように家事事件については大きな報酬に繋がる可能性もあります。

司法書士に「市場開放」をするメリットは弁護士にはありません。

 

次に、2についてです。

これは、現在の簡裁代理権の使われ方をみても明らかです。

若い合格者でもこう言っています。

「認定考査には合格したが、示談とか訴訟なんてやりたくない」

「簡裁代理権は時効取得の訴訟でしか使わないと思う」(被告欠席で原告主張通りの判決が出る事件ばかり)

司法書士の78パーセントは認定司法書士です。

そのうち本当に資格を使っているのはどのくらいなのか?

簡裁代理権を持ちながら、債務整理は一切やらないという人はかなりいます。

訴訟代理?絶対にイヤ! こういう人も少なくありません。

つまり、極論すれば「私は簡裁の法廷に立てるんですよ」と胸を張りたい気持ちはある。

けれども、実際に「訴訟代理人を」と求められると逃げ出す。

これが実情に近いのではないかと思われるのです。

「法律家と呼ばれるに相応しい活動をしていないのに、ぼんやりと権限拡大を夢見続けているようで

あれば、気がついたときには、社会から必要とされていない存在としてとりのこされかねない」

この入江教授のご指摘は、司法書士の現状を正確に捉えたものだと思います(入江,2019)。

 

家事代理権獲得を目指すのは構いません。

でも、その前に司法書士がそれを本気でやる気があるのか?

いま一度考えてみた方がよさそうです。

家事代理権獲得希望について、ある識者は「ちゃんちゃらおかしい」とまでいいました。

その理由は、そもそもそれだけの力があることを司法書士が示していないから。

まったくもってそのとおり。

簡裁代理権にしても、抜かない刀として床の間に飾っている状況です。

そして、実は多くの司法書士にとって竹光になってしまっているーと書くのは過激でしょうか?

 

日弁連が「市場開放」に応じそうな分野といえば、簡裁の刑事事件です。

でも、これにも司法書士は及び腰でしょう。

刑事?我々は民事の専門家だよ。

試験に刑事訴訟法はないからね。

刑法?司法書士試験で3問出題されるだけだし、そもそも関心ないもん。

という人が非常に多いようです。

だから、司法書士が「法律家」と名乗るのは絶対にやめておいた方がいいだろうと思うのです。

        ★ 伊藤沙莉さん

          女性初の判事及び家裁所長となった三淵嘉子を次の朝ドラ「虎と翼」で演じます。

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