不平不満を掲載しない自由
いろいろなホームページをみていると,「お客様の声」を紹介するコーナーがあったり,
「選ばれる理由」を述べる箇所に気づきます。
私のホームページにはそのような箇所がありません。
それは意図的に設けていないからです。
その理由は・・・
「お客様の声」を私が掲載するとして,不平不満にかんしては私の意思で排除することができます。
つまり,自分にとって都合のよい「声」だけにしてしまうことができるのです。
ホームページは一種の宣伝ですから不都合な声など載るはずもなく,
「お客様の声」の箇所は「精選された」内容になっていると思うべきでしょう。
「選ばれる理由」を自ら述べるのは完全に自画自賛です。
とてもではありませんが,私には無理です。恥ずかしくてできません。
仮に「選ばれる理由」に「お客様の声」が反映されるとしても,上記のように「精選」が可能なのです。
アンケートに基づく内容であるにせよ,依頼者が司法書士や弁護士に
「私の仕事ぶりを評価してください」
とアンケート用紙を渡されて「×」をつけることは難しいはずです。
本音は「×」でも「ありがとうございました」と書いてしまう可能性が高いでしょう。
アンケートも無意味なのです。
実はありがたい不平不満
私は不平不満を述べてくださる方がいらっしゃれば,そのお話は傾聴に値すると考えています。
わざわざ不平不満を述べるということは,そこには改善や次回への期待が込められています。
自らが「嫌な客だな」と思われても構わないという姿勢で真剣に問題点を指摘して下さっているのです。
こういうお客様こそ大切にしなければならないでしょう。
翻ってみるに,我々は「先生」と呼ばれ,一応の尊重を受けます。
そこに胡坐をかいてしまうことがないようにしなければならないと思います。
あえて不平不満をおっしゃるような良いお客様が離れないようにするためにも。
ほんとうに不平不満が最高潮の方はどうするか?
黙って離れるはずです。二度とかかわらないようにしよう,と。
リピートしてくださったり,他のお客様を紹介して下さる方,そして不平不満を述べてくださる方は離れません。
離れる方は何も言わないのです。そのくらい失望が深いということでしょう。
民間企業に勤務した20数年間でそれを如実に感じました。
★ 写真は,あまりにも有名な映画「シェーン」から。
ラストでシェーンは懐いていたジョーイの“Shane,Come back!”の声にも応えず,黙って去って行きます。
ジョーイの母と惹かれ合う自分が残るわけにはいかない,人を殺めてしまった以上はジョーイの傍にもいるべきではない。
シェーンはそう考えたのでしょう。決して何か不満があったわけではありません。
最後にジョーイの“Good bye, Shane”という声が涙を誘います。
ちなみに,この映画を初めてみた小学生の私が憧れたのは・・・
主役のアラン・ラッドではなく悪役のジャック・パランスでした。黒い皮手袋を嵌める姿がキマッていたのです。