マンションの一室を借りていた人が引っ越す。
その際に問題になりやすいのが、「原状復旧費用」です。
後日になってオーナーや管理会社から高額の請求が届く。
「なんじゃ!こりゃ!」
と驚いてしまう。
こういうケースは少なくありません。
その中で、管理会社がしばしば使う言葉があります。
「故意過失」
故意なのか? 過失なのか?
この重要な区別がまったくされず、「故意過失」なる四文字熟語のように使うのです。
しかも、故意や過失を基礎づける事実には一切触れない。
これが、「常識」のようになっているように感じられます。
こういう文書を受け取ると、自分が悪かったと思いがちでしょう。
でも、どういう故意があったのか?
あるいは、どういう過失があったのか?
たとえば、壁紙の色が褪せたのは経年劣化ではないのか?
だから、高額の請求を受けても冷静に対処する必要があるのです。
一方、請求する側は「故意過失」なる意味不明の用語を使ってはいけません。
私がある管理会社と電話で話した際に「故意ですか?過失ですか?」と訊ねたら、
「故意過失は不動産業界の用語です!そんなことも知らないんですか!」
という反応でした。
会話がかみ合わず、私は苦笑するしかありませんでした。
ほかに気をつけるとすれば、保険契約の有無でしょう。
賃貸借契約締結の際に保険契約を求められているケースがあります。
その中に借家人賠償責任保険なるものが含まれていないか?
件の「故意過失」を主張する方に
「保険契約があるのでは?」
と訊ねたところ
「最初からそう言えばいいんだよ!」
と言われました。
「そちらが最初から保険金請求を案内すべきでしたね」
「おたくみたいな人に言われる筋合いはない!」
結局、すべて保険金で処理できたケースでした。
それにしても「故意過失は不動産業界の用語」とは・・・
写真のように使われているのをみると、その点は本当かもしれません。
さて、言葉としての用法は正しいのでしょうか?
【国交省のガイドライン】
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について説明されています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html