テレビのニュースを視聴していたときのことです。
画面に「土地勘」と表示され、「はて?」と思ってしまいました。
正しくは「土地鑑」でしょう。
たとえば、
「逃走経路をみると犯人には土地鑑があったものと思われる」
という場合を考えればわかるのです。
「鑑」は「鑑定=みきわめること」という熟語に使われているように、お手本などの意味。
一方の「勘」は直感を意味する文字です。
上記の文例は、犯人が容易に逃げることができたのは、その土地を知っていたから、という話。
そうすると、直感では説明がつかないのです。
だから 「土地勘」は誤用なのです。
もともと「土地鑑」は警察用語です*。
これが広く使われるようになり、マスメディアが誤用を広めてしまったーということのようです。
上記のように「土地勘」という表記では、報道内容と合致しないことがほとんど。
けれども、マスメディアは知らないふりをして誤用を使い続けています。
意図的に「土地カン」と表記するメディアもあるそうです。
これだと誤用にはなりません。なかなかうまいな、と思います。
マスメディアの罪深さは印象操作や切り取りだけではなく、日本語をゆがめている点でも問題かも。
*立花書房の「警察実務用語事典」に載っています。
私は立花書房の本を何冊か読んでいます。そのひとつがこれ。