園芸店に「アジュガ」として売られている植物があります。
アジュガは、Ajugaでシソ科キランソウ属を表します。
園芸店で使われる商品名的な名称は、この属の総称を使っている例が多いです。
人に喩えれば、「高橋」の部分がAjugaです。
名の部分にあたる種名は、キランソウであれば decumbens となります。
これが、「雑草」として扱われるキランソウ Ajuga decumbens です。
その園芸品種は多種多様ですが、日本のジュウニヒトエ Ajuga nipponensisのようなのがこれら。
これらの多くはセイヨウヒイラギソウ Ajuga reptans の改良品種です。
直射日光が当たらないような日陰~半日陰で育てます。
樹木の足元(樹木が作ってくれる日陰)などに植えるのが一般的。
いわゆるシェードガーデン向きの植物です。
春には美しい花が咲き、地表を這うように広がるので雑草除けの役割も。
1993年の早春、宮崎県北諸県郡山田町(現都城市)でチョウの調査中でした。
田圃の畔にあるキランソウにチョウが舞い降りました。
それは、生息域が局限されているスギタニルリシジミ Celastrina sugitanii 。
山地の渓谷などでしかみられないといわれていたのですが、広い田圃に現れました。
その後、その近くでは何頭かのスギタニルリシジミに出会うことができました。
どうやら「山地性」「渓谷のチョウ」というのは必ずしも正しくないようだ。
これが判ったことに手ごたえを感じたことを覚えています。
今も、スギタニルリシジミの記憶はキランソウとセットになっています。