組織運営は面倒な仕事です。
私は、いわゆる大手金融機関で13年ほど管理職をしました。
これがいやでたまりませんでした。
組織は人の集まり。
人の数だけ個性があり主張もある。
それをまとめるのは容易ではないのです。
無論、権限があるので命令をすることはできます。
けれども、納得感がなければ命令を確実に実行しない人もいます。
管理職になる前に7年ほど次席として組織運営の修業をしました。
それで、「絶対に管理職にはなりたくない」と思いました。
が、企業にいる以上は順番が回ってくるのは仕方がないのです。
結果的には、報酬と引き換えに引き受けざるを得ませんでした。
私の場合は、次席の経験があったから管理職として働くことはできました。
いやでしたが、淡々とこなす日々を送りました。
では、ある程度の規模の組織運営の経験がない人が組織のトップに立ったら・・・
これは、本人にとっても悲劇ですが、組織のメンバーにとっては惨事に近いものがあります。
通常、こういうイレギュラーなトップ就任は起こりません。
だから、大惨事を目にする機会はなかなかないのです。
★ 「組織」といえば、映画「県警対組織暴力」
この名作の続編を松方弘樹さんが計画したのですが、当時の東映の岡田裕介社長は
「今の時代はそういうのできんのよ」
小栗旬さんが演ずる文太さんの息子が松方さん演ずる広谷に復讐を・・・
というストーリーが予定されていたそうです。
しかし、士業の世界ではその機会があるかもしれません。
事務所が大繁盛し、人を多数雇い入れても経営者に組織運営の経験がないケースです。
管理職の最大の任務は「人材育成」です。
人を育てれば、組織は自然と機能するようになります。
これができるかどうか?
即戦力ばかり期待し、期待に応えられないとイライラするーでは困るのです。
いきなり繁盛してしまうと、すぐに人手が欲しくなります。
それも即戦力が。
士業の世界において即戦力になるような人材は、自分が親方になっています。
採用できるのは育成を必要とする人材です。
育成すれば戦力になるかどうかを見極めることも組織のトップには求められます。
これも経験がなければ難しいのです。
士業の世界では、こういう経験を積んでいない人も少なくありません。
だから、上記のような大惨事みたいなケースに遭遇することもあるのです。
私の場合は、完全な「一人親方」。
まず、人を雇わないと仕事が回らないほど繁盛していません。
あるいは、自分1人でできる範囲でしか受任していないということでもあります。
なぜか?
人を育てる難しさと組織運営の面倒さが身に染みているからであります。