入職10年未満のキャリア官僚の退職者が過去最高となったそうです。
退職理由の主なものは以下のとおり。
「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい」
「収入が少ない」
「長時間労働が常態化している」
私は、最初に就職した損保を退職し、政府系特殊法人に転職しました。
37歳になったときです。これは管理職をやるのがいやだったから。
倍率は50~100倍という狭き門だったのですが、運よく入ることができました。
でも、2か月半で退職しました。
理由は上記とほぼ一致しています。
収入に関しては、年収800万円前後の設定なので「少ない」とまでは思いませんでした。
でも、長時間労働かつ魅力のない業務だったのは間違いありません。
尤も、長時間労働といっても疲れないのです。
なぜ疲れないか?
それは、仕事の内容が簡単すぎるうえに、それをダラダラとやるからです。
民間企業であれば、1人で半日かからずに済む仕事を3人で2日ほど徹夜してこなす。
「自己成長できる」わけもなく、当然ながら面白くもないのです。
また、時間コストの意識が皆無で、さらにルールを守らないことが常態化していました。
会議資料の提出が前日の16時締切でも、
「21時までにはそちらに持参するから」
が当たり前の世界です(提出を受ける側は当然残業するよね、という姿勢)。
そして、それが守られることは非常に少なく午前様が普通。
その間、総務課にいた私はじっと待つだけ。
残業の際の夕食に寿司などの出前をとり、その払いは法人が負担します。
つまり、夕食は誰もが食べるのに、自分の収入ではなく、別途に国民の税金を使うわけです。
会議資料を持参する側は、タクシーで「駆けつけ」ます。
タクシー代は潤沢にあるタクシーチケットで払います。
イコール国民の税金。
その法人では、年間で1億円以上のタクシー代を支出していました。
終電がなくなった後に帰宅する職員がその大半を使います。
こういう時間と国民の税金を無駄遣いする組織がすぐにいやになりました。
官僚の世界にも似た面があります。
キャリア官僚はエリートですが、書類を床に積んでいたり整理整頓には“?”マークがつきます。
時間外になると酒を飲みながら仕事をする官僚もいます。
酒を飲みながらでもできる仕事で「自己成長できる」とは思えません。
野党は国会質問を午前0時の締切直前に持ち込みます。
だから帰るに帰れません。
特殊法人もそれにおつきあいです(特に私がいた総務や企画の部門)。
人生において、その時間は二度とめぐってこないのに、俺は一体なにをやっているんだ?
私はこう感じました。
官僚の退職者が急増しているということは、健全な時間コスト意識が育っている証拠かも。
★ 何度かドラマ化された「官僚たちの夏」
今であれば「黄昏の官僚たち」というタイトルで、次々と辞めていく官僚を描くべきかも。