私が結婚したのは1990年6月です。
私は25歳で、妻は28歳のときでした。
それ以来、私が妻を他人に紹介する際などに
「家内」
と呼んだことは一度もありません。
たしかに、妻は専業主婦の期間もそれなりです。
だから家の中のことをやっていた時間もまあまああるのです。
家内と呼んでもおかしくない実質を具えていたともいえます。
けれど、私は「家内」とは呼びませんでした。
私は、家事を妻にすべて任せたこともありません。
得手不得手や上手か下手かで自然と役割分担しました。
妻が家内であれば、夫は「主人」です。
この呼び方が私は大嫌いなのです。
夫がメインで妻が添え物みたいではありませんか。
「夫唱婦随」という表現もあまり好きではありません。
どちらが唱え、どちらが賛成して随うかは様々です。
あるレストランの支配人みたいな女性と会話をした際のことです。
私が厨房に立つことが多いという話になりました。
「男性の料理がおいしいのは採算度外視だから」
とその女性はいうのです。
私は、
「とんでもない。残った材料を翌日以降に使い切る算段をして買物をしている」
と説明したのですが、その女性は最後に
「男性の料理は採算度外視ですから」
とまた発言したのです。
思い込みというか、観念の固着というか、困ったものだな、と思いました。
同じような現象として、夕方の来客が
「奥さんの忙しい時間帯にすみません」
と発言する例があります。
「これから夕食の準備で忙しいんはワシじゃ!」
同じ人と何度かこういう会話をしています。
これもまた、妻が夕食の準備をするという観念の固着が原因でしょう。
「え、ご主人が料理をしてくださるなんて、奥さんは幸せですね」
「ワシは夫であって主人ではないんじゃ!」
世の中では夫がメインで妻が添え物扱いのような表現が横行しております。
国連女性差別撤廃委員会にタレコミましょうか?
「日本人は差別的でダメダメな民族ですよ~。叱ってちょうだい!」と。
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この「日本一の野菜レシピ」の発行は2014年。
「dancyu」は「男子も厨房に入ろう」という意味です。
私は、我が家の厨房こそ職場だと思っております。