「40点とればいいので、なんとかなると思います」
これは認定考査の合格点のことをいっているのです。
私の記憶では、この種の発言は試験が近づくにつれて多くなった印象です。
きっと必死に勉強していることへの照れ隠しだったのでしょう。
認定考査は、司法書士試験と異なり、一定の点数以上は全員合格です。
その合格点が40点(満点は70点)です。
たしかに40点であろうが満点であろうが合格には変わりはありません。
しかし、40点を目指していては、40点程度の力しかつきません。
本番でちょっとミスをすれば、即不合格組に入ります。
では、どうすればよいのか?
完璧を目指すのです。つまり満点を狙うということです。
満点をとっても40点の人と同じ評価しか受けないーこう考えるのは誤りです。
満点をとることができる人にはそれだけの実力が備わっているのです。
その実力たるたや40点ギリギリの人とはかなり差があるでしょう。
3度の三冠王に輝いた落合博満氏は
「全打席ホームランを狙っている」
と公言していました。
そして、こうも言ったのです。
「あるレベルに達すれば、狙って打てるようになるのだから」
スピードあるスイングでの確実なミート。それに加えて正確な読み。
これを完成させるには血の滲むような努力が必要でしょう。
試合終了後に室内練習場でマシン相手に延々と打ち込んだ落合選手。
バットを握る手が開かなくなったことがあるそうです。
試験対策も同じではないでしょうか?
その落合さんですら年間本塁打の最高本数は52本(460打数)。
通算打率は3割1分1厘に過ぎません。
全打数の7割近くは失敗に終わっているのです。
野球に比べれば、試験は結果が出やすいはず。
70点満点で40点、つまり5割ちょっとで合格するのが認定考査です。
満点をとる準備ができていれば、まさかの不合格はないでしょう。
あとは、そのレベルに達するために努力できるか、にかかっています。
落合選手のようにマシン(練習問題)相手のスイング(演習)を延々とやることができるかどうか?
この地道な準備の姿勢は日頃の業務のあり方にも影響するようです。
40点程度の力で実際の裁判書類を作られても裁判所は迷惑でしょう。
口八丁手八丁ではどうにもなりません。実務においては完璧を目指すのが当然です。
試験の場合だけ「40点でいい」ということはありえないのです。
況してや「試験直前に急な仕事が入って・・・」みたいな言い訳など論外です。
私と一緒に特別研修を受講し、認定考査を受けた同期合格の仲間は全員合格したはずです。
おそらく全員が満点を目指したのだろうと思います。