阪神・淡路大震災が起きたのは30年前の 1月17日。
その10日後には私は神戸市にいました。
損保勤務ゆえの震災対応出張。
第一陣として現地入りしたのです。
テレビ画面から伝わってくる惨状以上の光景が広がっていました。
街が死んだ・・・そういう印象を受けたのです。
ただ、そこでは人々が懸命に生きようとしていました。
お互いが生きていた喜びを分かち合う場面にも遭遇しました。
「おお、お前、生きとったんか!」
「よかったなぁ、よかったなぁ」
長田区の菅原市場は私が担当しました。
最も火災の被害がひどかったとされる地域です。
そこでも人々は再興に向けて動き始めていました。
チャーターしたタクシーを使って移動しながら、あちらこちらを歩き回ります。
2人一組だったので、営業部門の若い社員と一緒でした。
その社員が
「もうえらいわぁ、しんど、ああ、しんど」
を繰り返すので、思わず
「うるさい!おまえに比べてこの街の人がどんだけしんどいか考えろ!」
と怒鳴ってしまったことを覚えています。
私たちはホテルに泊まり風呂も食事も平時と同じ。
何不自由ない状況で仕事をしているのです。
それなのに、「しんど、ああ、しんど」はないでしょう。
黙々と片づけをしている街の人にそういう声を聞かせたくなかったのです。
30年経ちました。
街は復興しましたが、かつての雰囲気は失われたといいます。
街に住む人の心はどうなのでしょうか。
今も気になります。