名詞と動詞
法律家または法律業者が書く文章の末尾に
「思慮します」
とあるのをたまにみます。
これは語法として間違いとまではいいませんが,ちょっとヘンです。
我々が普通に使うのは
「思料します」
なのです。
「思慮します」は若く経験年数の少ない人たちにありがちな使い方であるように感じます。
「思慮」は基本的に名詞として使われます。
「思慮が足りない」のように。
一方,「思料」は動詞として「する」を末尾につけて使います。
弁護士や司法書士が「思慮します」と書いているのをみたときは,キーボードのタッチミスだと思うことにしています。
かしゅつ?
これはキーボードのタッチミスだろうとしか思えない誤りは・・・
「貴殿の過出割合は70パーセントを下りません」
ある行政書士が書いていました。
この種の文書を交通事故の相手方に代理人として送っていました。
それだけでも問題ですが,「過出割合」とは・・・
過失割合の間違いで,キーボードのタッチミスなのでしょう・・・けれど,
「かしゅつ」と入力しても「過出」とは変換されません。 ん?
20年前のパソコンでは「過出」と表示されたのでしょうか?
なお,「過失相殺」を「かしつそうさ」と言ってしまう弁護士にも会ったことがあります。
判例があります!
同じように交通事故の過失割合について
「判例によれば貴殿の過失は40パーセントと考えます」
という書き方をする人がいました。行政書士です。
判例を示すように求めると,送られてきたのは写真の本のあるページでした。
それは判例そのものではないのですが・・・
東京地裁民事27部が集積された判例から過失割合を基準化した「認定基準」ですが,
ご本人は判例だと思っていたようです。
これなど一般の人に「判例」といってしまうと危険です。
「先生」がいう以上は本当だと思うでしょう。
この件も行政書士が示談代行まがいのことをしていたのですが,その点はここでは追及しません。
私が会社員時代のことで,実は「弁護士法72条に抵触するのではありませんか?」とただしました。
逆切れされました。
「法律の素人である貴殿にかかる侮辱を受けるいわれは・・・」
と筑紫野市で開業している自称プロが返信してきました。
賠償金に消費税加算
嘘のような話ですが,慰謝料等の損害賠償金を請求する文書で,消費税を加算したものをみた経験があります。
それも2件! しかも2件とも書いたのが弁護士! 幸いなことに(?)福岡県弁護士会の所属ではありません。
それにしても,とんでもなく恐ろしい話です。
請求書を受け取った人がいわれるがままに払ってしまう可能性があります。
かなり罪深い誤りです。
使者として請求します
16年前の話です。
「当職は●●★■の使者として貴殿に損害賠償金200万円を請求します」
書いたのは私の同業者である司法書士です。
我々司法書士は簡裁等代理権を有していても140万円を超える額について賠償請求の代理をすることはできません。
だから「使者」を名乗ったのはわかりますが,文章は代理人として請求している内容なので爆笑しました。
この先生のお名前を記憶していたので,合格後に県司法書士会のサイトで調べました。
もうお名前がなく,仄聞するにはお亡くなりになったそうです。