福岡県糸島市 司法書士 ブログ

リアリティ

刑事ドラマのリアリティ

昔の刑事ドラマは犯人がしばしば射殺されたり,刑事の殉職が描かれたりしました。

これらについて「リアリティがない」と批判する人たちがいます。

一方で,最近の刑事ドラマでは刑事が拳銃を撃ちまくるようなシーンはなくなりました。

これを「リアルに描いている」と称賛する声があります。

こういった評価は正しいのでしょうか?

発砲がなければリアルなのか?

たしかに我が国の警察官が発砲することは稀です。

必ずニュースになり,当該警察官が所属する警察署の副署長がコメントを出します。

「適正な職務執行だった」と。

だからドラマでやたらと拳銃を撃つことにはリアリティがなく,絵空事だという批判には理由があります。

しかし,ドラマそのものがもともと絵空事であり,発砲しない刑事もまた作り物なのです。

だから今の刑事ドラマを支持する人による拳銃アクションがある刑事ドラマへの批判には失笑を禁じ得ないのです。

今の刑事ドラマの「リアリティ」を称える人が警察官の捜査の実際を知っているでしょうか?

その人たちが「リアルに描いている」というのは冗談のような話です。

勧善懲悪が基本

思うに刑事ドラマの基本は「勧善懲悪」です。

悪事が描かれ(悪役俳優の力量のみせどころ),それを正義の味方である主人公が制圧する。

最終的には射殺というケースが多いのでしょう。

それを残酷だという向きもあるかもしれません。

でも「悪いことをすれば過酷な運命を辿る」というわかりやすさは重要ではないでしょうか。

たしかに人が死ぬシーンには残酷さがあります。

それが正義の味方とはいえ刑事によってもたらされる犯人の死というのは非常に惨いようにみえます。

しかし,その前に犯人はもっと悪逆非道のかぎりをつくし,殺人に加えて強盗や強制性交といった犯罪を犯しています。

そういうことをすれば,最後は自分に死が巡ってくる。悪が栄えることはない。

このように描くことは,教育上も重要な意味をもつと思います。

残酷さを感じさせないように,軽やかにかつファッショナブルにする工夫も過去の刑事ドラマでは凝らされていました。

リアリティとは?

それでも過去の刑事ドラマのような銃撃戦やアクションシーンが現実に展開されるわけではありません。

だから「リアリティがない」という人の意見には納得感があるかもしれません。

しかし,それは表面的な評価に過ぎないように思います。

視聴者が惹きこまれ,感情移入できるドラマ。こういうドラマにはリアリティがあると私は思うのです。

気持ちを動かされた視聴者は身を乗り出し,固唾を飲んで主人公の活躍に期待します。

結果に安堵したり,時には涙する。

視聴者は「本物」をみた感動に包まれているはずです。

この「本物」は偏に脚本と演出,そして出演者の演技によるものです。

発砲の有無など関係がないと思います。

リアリティなるものは,感じる側それぞれの気持ち次第のように思うのですが,いかがでしょうか?

 写真は,上から順に「大都会PARTⅡ」の渡哲也さん,松田優作さんに裕次郎さん。

   「大都会PARTⅢ」に登場した寺尾聡さんは44マグナムをぶっ放していましたが,あり得ません(笑)。

  でもスリムな寺尾さんがデカい拳銃を構えると様になるのです。

  「相棒」の水谷豊さんと反町隆史さんに山西惇さん。

  「あぶない刑事」の柴田恭兵さんと舘ひろしさん。

  そして「太陽にほえろ」での勝野洋さん演ずるテキサス刑事の殉職シーンです。

 というわけで最後に寺尾さんの発砲シーンです。

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