いよいよ来週の日曜日が簡裁訴訟等代理権の認定考査です。
この試験に合格すれば司法書士としては形式上「フルスペック」ということになります。
尤も,簡裁訴訟等代理権の認定を受けても使っていない人も少なからず存在します。
司法書士の世界には紛争解決を好まない人が少なくないのです。
それゆえに簡裁訴訟等代理権の認定を受けても使わないという現象が生じるようです。
利害関係が対立する事件に介入して交渉するかどうか,あるいは法廷に立つかどうかについては
各自の考え方に従って対応すればよいと思います。
★ 「交渉人 THE NEGOTIATOR」の米倉涼子さん
使わない以上は認定考査の合格は不要という人がいるかもしれません。
しかし,依頼人となるべき人々からの多様な相談に対応できるかどうかもこの試験の合否に左右されます。
たとえば,Aさんが自転車を運転中によろけてしまい,駐車中の自動車のドアにぶつかって傷をつけたとします。
修理は板金と塗装の費用で10万円でしたが,車両の所有者Bさんが
「愛着のある車だから慰謝料として5万円を支払え」
と請求したというケースでX司法書士に相談をすることを考えてみましょう。
X司法書士は簡裁訴訟等代理権の認定を受けていません。
この場合,X司法書士は相談に乗ることができません。
示談交渉や訴訟代理ができないのは勿論ですが,相談に乗ることすらできないのです。
一般にAさんの立場の人は,認定司法書士が何をできて,何をできないかまでは詳しくは知りません。
知っているとしても訴訟代理ができるかできないかの違いだという程度ではないでしょうか。
このケースでX司法書士が相談に乗ったとすれば,大きな問題になる可能性があります。
ついつい気軽に相談に乗ってしまってもいけないわけで,そうだとすればX司法書士は
「ごめんなさい。相談をお受けできません」
と断らなければなりませんが,Aさんには「頼りないな」とか「あてにならないな」というイメージが残るでしょう。
そういう意味でも認定考査に合格しておく意味があるのです。
上記の設例でX司法書士にできることは―
Aさんが,「Bとこういう内容で示談解決することに合意したから示談書を作ってくれ」と依頼するのであれば,
これを受任することはできます。つまり成立した示談内容を書面に整序する仕事です。
前にもブログの記事に書きましたが,今や司法書士の78パーセントが認定司法書士です。
試験を受けて合格するのが今は普通になっており,それに基づくサービスを提供できるのが当然になっています。
受けても合格しないとすれば,それはご本人の責任であり,勉強不足というほかないのですが,
認定率を考えると,普通に勉強すれば合格するはずです。
受験される方は,これまでの学習に自信をもって試験に臨んでください。
★ 写真は通知された成績です。
当初,成績通知を請求する予定はありませんでしたが,試験終了後に60点を超えたように思い,
何点かを知りたくて請求したところ59点でした。60点に達しないのは私の詰めの甘さです。
59点は上から6番目,受験した約620名の12位にあたる得点で,まあまあ満足しています。
ちなみに満点は70点です。