訴状や答弁書が横書きになってから随分経過しました。
それに合わせて法律書も多くが横書きになりました。
今でも縦書きを維持しているのは、江頭憲治郎教授の「株式会社法」(有斐閣)です。
かつて法律書はほとんどが縦書きでした。
訴状等が横書きになってからは縦書き主流ながら横書きが増えた印象です。
今は縦書きの法律書は絶滅危惧状態になっています。時代は変わりました。
「ほとんどが」と書いたように、過去にも横書きの法律書は存在しました。
それは有斐閣の「有斐閣大学双書」のシリーズです。
今は「新民事訴訟法講義」しか出版されていません。
私が学生時代に初めて買った横書きの法律書も有斐閣大学双書の一冊でした。
契約法の学生用教科書で「民法講義5」という表題だったはずです。
しばしば、前田雅英教授の「刑法総論講義」(東京大学出版会)が「初の横書き」のようにいわれます。
しかし、違います。有斐閣大学双書のシリーズのいずれかです。
実は、今も私は縦書きの方が読みやすく感じます。
それはおそらく手元で使う「模範六法」などの条文集が縦書きだからです。
訴状等のように条文集も横書きになると、横書きを読みやすく感じるかもしれません。
そういえば、今は、二色刷りの法律書も増えました。
学生用の教科書の多くが採用するようになっています。
この二色刷りにかんしても前田教授の上記の本が初物のようにいわれますが、違います。
私が知るかぎりでは、近江幸治教授の「民法講義Ⅳ」(成文堂)です。
上記の近江教授のご著書の初版本には落丁があり、私は出版社から訂正シールを頂戴しています。
二色刷りを条文集でも採用してくれないでしょうか。
随分とみやすくなると思います。
★ 我が国初の二色刷り基本書「民法講義Ⅳ 債権法総論」(近江幸治)