「余計なコンプレックスと変なプライド」という記事で想像力に触れました。
これが大事だということもかなり強調しています。
想像力が欠如するとどうなるか?
対人関係においては、かなり失礼なことにつながります。
私は損保会社勤務の経験が20年強ほど。
だから、
「高橋さんは保険屋さんだったんですよね?」
と数人の司法書士からいわれました。
この人たちが、普段から生損保勤務の人に「保険屋」と言っていたら・・・
かなりまずいです(私はもう辞めているから問題視はしませんが)。
英米では insurance man は社会的なステータスがかなり高い職業です。
多くの生損保勤務者は高度専門職的なプライドを持っています。
そういう彼らにとって「保険屋」というのは侮蔑の表現になるのです。
おそらく、司法書士が生損保の社員を「保険屋」呼ばわりしたら
「代書屋風情が偉そうに・・・」
と反対にバカにされていると思った方がいいのです。
簡単なことなのです。
司法書士は「代書屋」呼ばわりを嫌います。
そして、「自分は法律家だ」と言っている人は少なくありません。
つまり、自分が使われたら嫌な表現を相手に使えば、相手も嫌な思いをする。
こういう簡単な想像ができないのは、かなり困ったことだと思います。
想像力が働かないのは、対人の仕事をする上で致命的な欠陥です。
このことは既に述べたとおり。
「保険屋」に関していえば、その言葉を使う人の頭の中には訪問セールスがあるのです。
社長以外は、朝から夕方まで戸別訪問をして保険契約の勧誘。
こういうセールスの人が自宅に来ているのか?
来ていないと思います。
なぜなら、そういう仕事が存在しないから。
特に損保の営業マンの仕事は間接営業。
代理店の設立や管理、営業促進指導みたいなものです。
ちなみに、私はその仕事をしたことがありません(営業部門に所属した経験がない)。
生保では地元採用のセールス社員を使います。
けれども、総合職が訪問販売をすることはありません。
誰もがそういう事実を知らないのはどうしてか?
おそらくテレビドラマの影響でしょう。
テレビドラマはわかりやすく作ります。
★ 「ダブル・キッチン」は31年前の人気ドラマ
保険会社勤務の高嶋政伸さんがセールスをするシーンがありました。
ドラマ終盤でロンドン支店に転勤・・・総合職だったわけです。だったら、戸別訪問セールスってあり得ないのに・・・
最も簡単な図式をみせることが、視聴者の理解を得やすいからです。
「保険=セールス」はそういうドラマ作りから生まれた「想像の産物」です。
「一般の視聴者にはこの表現がわかりやすいだろう」という作り手の想像力の産物です。
ともあれ、自分の想像が正しいかどうか? 事実に立脚した確かな想像か?
まずは、このことを想像してみることが大事ではないでしょうか。