障害者なのか障碍者なのか?
はたまた「障がい者」?
こういう議論が大真面目に10年以上続いています。
それも政府関係の会議で。
私にいわせれば、かなり馬鹿げた議論に税金を費やしているのです。
司法書士や弁護士にも仕事上で「障害者」という表記を忌み嫌う人がいます。
この人たちは法律を扱っている自覚があるのかな?
実をいうと、私はかなり呆れているのです。
だって、法律上は「障害」しかないのですから。
精神保健福祉法と呼ばれる法律があります。
正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」です。
法律には「障害」と表記してあるのです。
たしかに、「障碍」も正解ではあります。
しかし「碍」という文字は常用漢字ではありません。
読みなれていない人もいるでしょう。
私が知っている熟語としては「碍子」と「融通無碍」くらいしかありません。
普段から家庭で購入することはない「碍子」。
「なにそれ?」という人は少なくありません。
「融通無碍」は「ゆうずうむげ」です。ここでの「碍」は「げ」と読みます。
つまり、「碍」はマイナーな文字なのです。
一方、「害」には「害悪」「災害」といった熟語から悪いイメージがあるようです。
障害を持つ人を貶めたり、悪い存在としているーこう感じる人がいるらしいのです。
では、「碍」がよい意味を持つ文字かというとそうではありません。
「害」同様に「さまたげる」意味を持つ文字です。
「害」には命を奪う意味がありますので、悪い意味の文字だ。
こういう主張もあるでしょう。たしかに「害する」は「殺す」ことを意味します。
しかし、「要害」という使い方があるように、「重要なもの」を表す文字でもあります。
「碍」にはそういう意味はありません。
そうすると、どうでしょうか?
「がい」の部分のみをとりあげてみると、「害」の方が良い意味を持つといえるかも。
そこで「障」に目を向けます。
これもまた「さまたげる」意味を持つ文字です。
悪いイメージを与えかねないので、この文字も変えるべき・・・という話は出ていません。
上記のように税金を注ぎ込んで議論を重ねていることのくだらなさがわかると思います。
なお、「障」はほかに「防ぐ」という意味を持っています。「保障」という使い方がそれ。
この字義は良いイメージでしょう。
というわけで、良いイメージの字義を持つ「障」と「害」を使えばいいのでは?
イメージを必死に気にする人たちには、こういうイメージの話をすれば済みそうです。
では、ひらがなで「がい」と書きたがる人たちは、こう考えないのか?
いっそのこと「がい」を使うついでに「障」の部分もひらがなで「しょうがい者」にしよう!
ひらがなにしておけば、あれこれ文句を言うこともできないだろう!
でも「者」が抜けてしまうと「しょうがい」。
「生涯」や「渉外」と誤りかねません。
こういう馬鹿げた議論をするよりも
「精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを」(精神保健福祉法1条)
真剣に進めたいものです。
「害」という文字に対し、勝手に悪いイメージを抱く人へ。
「もっと漢字のお勉強をしてください。字義くらいは調べてね」
なお、「碍」は「礙」と書くのが正しく、「碍」は俗字に過ぎません。
「碍」推しの人は、この事実くらいは知っているはずですよね? ね?
★ 左 タフガイと呼ばれた日活時代の石原裕次郎さん
★ 右 マイトガイと呼ばれ続ける小林旭さんの日活時代