「季違い」という言葉を聞いて、映画を思い出す人がいるのではないかと思います。
作品は「獄門島」。横溝正史作の1948年の小説です。
何度か映像化されていますが、有名なのは1977年の市川崑監督作品でしょう。
了然和尚役の佐分利信さんが「季違い」という言葉を発します。
それを石坂浩二さん演ずる金田一耕助が「気違い」と誤解し・・・
勘違いは仕方がないとはいえ、「名探偵」なら早く気づけよ!と思ってしまう作品です。
植物の世界においても季節を間違えたような現象がみられます。
ウメが秋に開花したりするのはその例です。
今回は少し珍しいケースです。
ブナ科のマテバシイ Lithocarpus edulis が花をつけていたのです。
だいたい5月中旬から6月にかけて開花しますが、10月20日に花を咲かせていました。
ブナ科の多くは結実を迎えています。
たとえば、クリ。
コナラやクヌギ、アラカシといった Quercus属各種もドングリをつけています。
スダジイに代表される Catanopsis属各種も同じです。
マテバシイもこの時期にはドングリをつけているのですが、こういう現象もあると知りました。