写真の蝶はヒメアカタテハ Cynthia cardui です。今月初めに撮影しました。
この蝶は世界的に分布しており,最も広い分布域を持つのではないかと思われます。
私の自宅兼事務所の隣にある公園でもレギュラーで,いつも数頭が飛んでいます。
食餌植物はキク科で,特にヨモギとアザミの仲間を好みます。
ハハコグサやチチコグサにも幼虫がよくみられます。
たまにゴボウの葉を食害することがあるらしいのですが,私はまだみたことがありません。
決まった越冬態はありません。
真冬の河川敷でアザミのロゼッタに幼虫がいるのをみることがあります。
同時期に蛹をみつけたこともあり,真冬でも暖かい日には成虫が活動したりします。
実は,公園にはヨモギがほとんどないのです。それは駆除したからです。
ヨモギがあまりにも蔓延って景観を損ねているため,チガヤなどと共に徹底的に抜いたのです。
それでもヒメアカタテハの個体数は減りません。
上記のハハコグサやチチコグサも駆除して極めて少なくなっています。
せいぜいチチコグサモドキがあるくらいです。なぜ個体数が非常に多いのか?
それは公園が高台にあるためです。
オスがそういう高い場所に集まって占有行動をとる習性をもっているからです。
自らのテリトリーに侵入したメスに求愛します。この習性をもつ種は少なくありません。
これから冬に向かうにつれて蝶の姿は減っていきます。
しかし,ヒメアカタテハだけはいつも元気です。
1月や2月の厳寒期でも陽射しが温かい日は,覚醒した成虫が飛び回っていたりします。