糸島市内の初川の川辺には大きなヤナギの樹が生えていました。
おそらくジャヤナギ Salix eriocarpa だろうと思っていました。
この樹が伐られてしまいました。
理由はわかりません。
トビやカラスが羽を休めたり、巣を作ったりしていました。
残念です。
ヤナギの樹は意外に認識されにくいのです。
それは、多くの人のイメージがヤナギ=シダレヤナギだから。
花札に描かれているのもシダレヤナギ。
「柳に風」という言葉も意味を考えると納得できます。
この柳はシダレヤナギでなければならないでしょう。
実は、枝垂れるヤナギはシダレヤナギくらいしかありません。
コリヤナギやジャヤナギは枝垂れません。
これらの方が圧倒的に多いのです。
ヤナギの樹は工芸品の材料になります。
ヤナギの枝を使って籠などを編むのです。
なかなか味わい深い逸品をみることがあります。
私のような蝶の観察者としての立場からも重要な樹です。
九州ではコムラサキやヒオドシチョウの幼虫がヤナギの仲間を食します。
本州の中央高地や北海道に分布するオオイチモンジの植樹もヤナギ科。
花は目立ちませんが、意外に美しい。
結実して綿毛を飛ばす姿も風情があります。
ゴッホの名画でもヤナギが描かれています(「夕暮れの刈り込まれた柳」)。
ユーミンの名曲「14番目の月」にも
♪ um YANAGI NI KAZE ♪
というようにヤナギが登場。
ヤナギは芸術にも深く関わる樹なのでした。
どうしても伐らざるを得なかったのであれば仕方がありません。
でも、できれば伐らずに残して欲しい樹です。
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