タイトルに示した各用語の中にはおかしなものがあります。
公判・・・刑事事件で期日に行われる法廷での審理
判決の趣旨・・・民事訴訟では訴えを起こす側が「請求の趣旨」を明らかにします。
これに対する言葉として「ある」とすれば、判決主文のことでしょうか。
日本語として「判決の趣旨は・・・」と説明することはあります。
けれども、法廷で裁判官が「判決の趣旨を述べます」とは言いません。
「判決の要旨を述べます」と言うことはあります。
内容が社会的に影響を及ぼすようなケースにおいての話です。
損害賠償権・・・? 意味不明です。
そのまま読めば「損害賠償をする権利」です。
そういう観念はなく「損害賠償をする」のは義務と考えることになります。
請求する側からみれば、「損害賠償請求権」です。
これらはすべてNHKの朝ドラ「虎に翼」で使われた言葉です。
最初に「え?」と驚いたのは、民事訴訟の場面で裁判長が
「次回公判は・・・」
と述べたシーンでした。
その後、別のシーンで裁判長は
「判決の趣旨を述べる」
と言い、要旨を述べました。
原爆裁判のシーンでは国側の代理人(検察官が務める)が
「損害賠償権」
と言っていました。
これらはドラマではありがちな間違いではあります。
けれども、一応は「法律考証」の担当者がいるはずです。
なんと、明治大学の村上一博教授でした。
専門は日本法制史です。
基礎法学の研究者とはいえ、上記のようなことをご存じないはずはありません。
名前を貸した結果・・・でしょうか。
ドラマはおもしろいだけに、ちょっと残念でした。
NHKならぬかりはないと思っていたのですが。