ボーイッシュなファッションだけど長い栗色の髪の女性。
友人に紹介された際の第一印象は
「この人とは絶対に恋愛関係に至ることはない」
でした。
生意気そうで気も強そう。
当時の彼女には他学に彼氏がいて、王道恋愛生活中でラブラブ(らしい)。
こちらは対女性面では表層的で割り切った関係しか求めなていない。
友人を通して知り合っただけくらいの感覚です。
ところが、いつからか徐々に距離が縮まってしまいました。
最初にわざわざ「恋愛関係に至ることはない」とハッキリ意識したのに。
寧ろ、こういう思いこそ私の深層心理の中に彼女への強い意識が発生した証拠だったのか。
二人の距離は縮まりました。
彼女から詰めてきた感じです。
そうなると、なぜか逃げ腰になる私。
恋愛関係に移行しないままで時は過ぎてゆきました。
結局のところ、私はまだ女性不信を拭えず、普通の恋愛に及び腰なのでした。
私の心に強い女性不信の念が棲みついていなければどうだったか?
それでも彼女とは長続きしなかったような気がします。
だって・・・私が大好きな食べ物を彼女は大嫌いだったのです。
この点も私が彼女に「告白」することを躊躇させました。
彼女から何かいうことはないーそれはわかっていました。
私の言葉を待っているということも。
彼女はある小説の中のワンシーンを再現したのではないかと思われるフシがあります。
私の部屋を訪れる前に小説の中のセリフを再現しています。
お互いによく読んで内容を知悉している「春の夢」(宮本輝)の一場面でした。
私のアクションなり言葉なりを待っているーそういう時間だったように思われます。
でも、私はそれを感じつつも気づかないフリをしています。
女性不信の念が強い以上に勇気がなかったような気がします。
「春の夢」を読み返すと、自分が経験した場面がよみがえります。
そして、ちょっと苦い思いをかみしめることになるのです。
★ Ah,失った後で 真実に気づくのはなぜ ♪