ハゲを笑っていいという社会
「このハゲェ~ッ!」という女性議員の叫びがテレビで繰り返しとりあげられた時期がありました。
今は、議員ではない立場で時折テレビ出演され、政治関連の報道にコメントしていらっしゃるとか。
「このハゲェ~ッ!」と叫んでしまった頃は、きっと精神的にキツイ時期だったのでしょう。
ご本人には似合わない罵声を発してしまったようです。
「ハゲ」という表現は明らかに相手を見下す表現で使われます。
一般社会でも「ハゲ」を笑っていいという共通認識が存在するようです。
加藤茶さんが、ハゲ頭のカツラをかぶって笑いをとった時期がありました。
今でも、あのカツラは宴会のかくし芸用として売られており、
「カトちゃんハゲ」というネーミングになっています。
ハゲは笑いの対象になっており、それは世間で普通のことのようです。
★ ご存じ加藤茶さん
諸外国のハゲ
では、ハゲを笑うことが諸外国に通用する「常識」なのか?
ユル・ブリンナーやテリー・サバラスといった有名なスターはハゲです。
マカロニウェスタンで活躍したリー・ヴァン・クリーフもハゲています。
★ 「王様と私」や「荒野の七人」のユル・ブリンナー(左)と「オフサイド7」のテリーサバラス(中)
そして「夕陽のガンマン」のリー・ヴァン・クリーフ(右)
しかし、「このハゲェ~ッ!」といわれるような存在ではありません。
輝く大スターといえるでしょう。
007時代は別にして、ショーン・コネリーもハゲ頭を隠さずに活躍した大スターです。
失語症で俳優引退を宣言したブルース・ウィリスもある時期からハゲ頭です。
ジョン・マクレーン刑事が敵役から「このハゲェ~ッ!」と罵られるシーンはありません。
どうやら欧米ではハゲを笑いの対象にはしないようなのです。
★ マクレーン刑事=ブルース・ウィリス(右)と元007のショーン・コネリー
ショーン・コネリーはハゲ頭で演じるようになってからの方がカッコいいと思います。
私の経験
10数年ぶりに会った知人にいわれました。
「髪がなくなっているかと思っていたら・・・」
私がハゲ頭になっている姿を想像していたようです。
「なのに、いい具合の白さで・・・」
私の髪が白くなっていることが実に残念そうでした。
思わず「なのに」と言ってしまったのでしょう。
私にハゲていてほしかった気持ちが如実に出ていました。
これなど、以前にもブログで指摘した
「相手を低くみたい潜在意識」
が顕れた現象だと思います。
ここでも「ハゲ」を劣位にみる感覚が感じられます。
日本におけるハゲの意味
我が国では出家するために剃髪します。つまり、俗世を捨てることを意味します。
世間からの離脱のために異形になるということなのでしょうか。
あるいは、恭順や反省の意味で「頭を丸める」こともします。
これは「劣った姿」をみせることで、許しを請うことのように考えられます。
なぜかハゲ頭を低く評価する文化があるようなのです。
その理由は、私にはわかりません。
ある大スターは、髪が薄くなってきたことを思い悩み、植毛手術を受けたそうです。
その人の容姿を思い浮かべるに、ハゲ頭でも十分すぎるくらいカッコいいのですが。
実に珍妙な感覚です。髪の毛の量が人の価値を決めるかのような。
★ 今後も大活躍が期待されるヴィン・ディーゼル(左)とジェーソン・ステイサム