合格発表
今年もこの季節になりました。
明日はいよいよ司法書士試験の合格発表です。
口述試験での不合格者の少なさを考えると,明日が事実上の合格発表といえるでしょう。
次は口述試験ですが,こちらは基本さえ押さえておけば心配はありません。
おそらく各予備校が過去問をサービスで配布するはずなので,それを繰り返すこと,
司法書士法2条にかんしてはマジメに暗記しておくことくらいで対策は十分です。
明日合格できた方は11月12日を楽しみに待つことになるでしょう。
受験生の皆様にとって,明日が吉日であることを願っています。
笑撃の「ダメです」
私が合格した年には福岡県司法書士会で年内に研修が行われました。
その研修の午前の部がなかなか凄い内容だったので,ちょっとだけ触れてみます。
「マナー」にかんする研修ということですが,敬語の使い方や目上の人への接し方など盛りだくさんです。
そして・・・誤りも盛りだくさんでした。
スタートから新入社員に気合を入れるような内容です(笑)。
ハッキリいって合格者の平均年齢が40歳という実態にまったくそぐわないのです。
講師はクレーム処理などもベテランでプロであるようなことをいっていました。
いやになるくらいにクレーム処理も研修講師も経験した私は休憩時間に質問をしてみたのです。
私の質問は,カウンセリング技法として確立されている“summaraizing”にかんするものです。
講師はハッキリと
「そのやり方はダメです。相手の言い分を固定化して問題を大きくします」
といいました。“summaraizing”を否定する「プロ」には初めて出会いました。
私の数多の経験上も「問題を大きく」するようなことはありませんでした。
この「ダメです」が講義内容ではなく,休憩時間の質問への回答にとどまったのは幸いでした
(尤も,周りに聞いていた人が少なからずいましたが)。
青年会も専門家も「ダメです」・・・?
特別研修中に行われる青年協議会(青年会)主催のリーガルカウンセリング研修では上記の技法を学びます。
“summaraizing”と並んで大事な“paraphrasing”と“reframing”も学びます。
当該講師によれば,青年会の研修は,その内容が「ダメです」ということになります(笑)。
私自身は,理論を学ぶ前に経験でこれらの技法を身につけていました。
自分なりに実務経験から技法をあみだし,それを後輩や部下に伝えていたのです。
38歳のときに危機管理の専門家の研修を受ける機会があり,やはり休憩時間に質問をしたのです。
「その内容を次のパートで話すのです」
といわれ,意を強くして続きの講義を聴きました。
自分が実務の中で身につけた技法が実は理論化されていることに驚くとともに感動しました。
でも福岡県司法書士会が選んだ講師には「ダメです」といわれてしまいました。
上記の危機管理の専門家はかなり有名な方ですが,「ダメです」ね(爆笑!)。
プロなら・・・
私が当該講師で,“summaraizing”を「ダメ」と思ったとしても質問者に対して「ダメです」とは絶対にいいません。
以下のようにいいます。そして,これがプロの喋りです(自信あり)。
「なるほどよい工夫をされていらっしゃいますね。
相手の主張がその範囲にとどまらないかもしれないので,
更にそれを引き出す工夫も検討されてはいかがでしょう?
もっとよい手法になると思いますよ」
「ダメです」といきなり否定してしまうと,相手は心の中に拒否反応を起こします(これは常識中の常識)。
その次に続く説明がいかに正しく有益でも伝わらなくなります。
自分を否定するような相手の言葉を素直に聞きますか?というお話です。
講師は本当の「プロ」を選ばなければなりません。
だって受講生は受講料を払って聴講するのですから。
★ 映画「ダメおやじ」の三波伸介さん。52歳で亡くなった偉大な喜劇人です。
盟友伊東四朗さんは80歳を超えた今もご活躍。三波さんの逝去は本当にショックでした。