我が国では婚姻の結果として女性が姓を変えることが多い。
これが批判の的になっていますが、本人たちの自由意思に基づく選択を批判するとは・・・
かなり失礼ですが、批判する人たちはそれに気付いていないようです。
私は現時点では夫婦別姓制度を導入する必要はないと思っています。
世間が求めていないのですから。
これはアンケート結果からもハッキリしています。マスコミの報道からも明らかでしょう。
でも「夫婦別姓こそ正しい」というヘンな誤解で力んでいる人たちがいるのです。
進歩的な誰かさんが遅れている世間を啓蒙するみたいな雰囲気は大嫌いです。
すべて世間の認識の推移に委ねればよい。
機が熟せば夫婦別姓もよし。
尤も、その機は永遠に熟さないままかもしれませんが。
さて、姓を変えることは養子になることを意味しません。
たしかに配偶者の父母を「お父さん」「お母さん」と呼びはします。
でも、それは姓を変えない側も同じです。
結婚相手の両親をそう呼ぶのが習慣になっているだけの話。
ところが、「男性が姓を変える=婿養子になる」という誤解をしている人がかなりいます。
自分は稀姓だから、この姓を後世に残したい。
だけど、子供は女の子しか生まれていない。
誰かに婿養子に入ってもらわねば。
こう考える人がそこそこいるようです。
「養子に入る」という感覚もなにやら昔の「家制度」が前提にあるようにみえます。
世間の感覚は今も「家」を意識したものであることがよくわかる現象かもしれません。
では、婚姻で女性が姓を変えたら?
このことを養子縁組をしたとは考えないらしいのです。
なぜでしょう?
不思議です。
誰かの養子になったら実父母とは縁が切れてしまうという誤解もあるようです。
縁は切れません。だから実父母も養父母も相続することになります。
私は、実際に「家名を途絶えさせたくない」という理由で男性を養子に迎えた例を知っています。
養子縁組をしたうえで自分の娘と結婚させ「家名」を維持したということらしいのです。
20代の頃に示談交渉の相手方となる家族からそういう説明を受けたので、
「姓は婚姻当事者の合意により男性のものでも女性のものでも選べること」
「養子縁組をした結果、(婿養子さんは)養父と養母を相続する立場になること」
などを説明したら、
「そりゃ、あんた誤解しとるばい」
と言われてしまいました。
「日本では家を継ぐのは男子やけね、男子に来てもらわんといけん」
そうです。
平成になってからでもこういう感じでした。
それから30年ちょっと経過しました。
今でも「●●家 ■■家 結婚披露宴会場」と書いてあります。
婚姻は「家同士」の話であるという意識はあまり変化していないように感じます。
令和になっても「戸主」と書いてある文書をみたりしますから。
★ 本木雅弘さんと内田也哉子さん
也哉子さんのお父さまは内田裕也さん。
本木さんは「養子に入ってくれ、よろしく!」と裕也さんから頼まれています。
「男の子がいないため内田の家名が途絶える」のが困るからという理由です。
男子がいなければ家名が途絶える?
いったいいつの時代の話なのか?
誤解が前提であるにせよ、ロックンローラーらしくない古風な感覚であります。
というよりは、我が国ではロックンローラーでさえこういう感覚だということかもしれません。
全然シェケナベイビー!じゃないですね。