認定考査を受けて「簡裁訴訟代理等関係業務の認定」を受けたのが令和2年。
合格した翌年の特別研修を受け、その年に受験して合格しました。
多くの司法書士試験合格者はこのような感じです。
しかし、訴訟代理人の仕事を受任するかは依頼の有無次第。
あたりまえですが、依頼がなければ訴訟代理人にはなれません。
司法書士の簡裁代理受任件数は減少傾向です。
認定を受けても積極活用しない司法書士も少なくありません。
私は、最近になって、続けて2件の訴訟代理事件を受任しました。
訴訟代理人の仕事は損保勤務時代に少なくとも70件程度はこなしています。
100件には達しなかったような印象です。
よって緊張などあるはずもなく、寧ろ簡裁は自分のホームグランドのような印象です。
登記申請に比べると、準備書面での工夫などもでき、この業務の方が圧倒的に面白いのです。
ゆえに私自身はこれからも積極的に受任する方針です。
さて、今年の特別研修は今月下旬から7月上旬にかけて行われます。
その後に認定考査が行われ、「簡裁訴訟代理等関係業務の認定」を受けることになるのです。
今や80パーセント近い司法書士がこの認定を受けています。
認定を受けるのと受けないのでは、相談を受けることができる範囲にも違いが生じます。
破産の申立: 認定を受けなくても書類作成業務ができます。
任意整理 : 認定を受けなければ相談にすら応じることができません。
そうすると、破産か任意整理かが微妙なケースでは、相談を受けることを回避しなくてはなりません。
結局、任意整理の相談になってしまう可能性があるからです。
債務整理の分野はそれなりの需要があります。
私が受任した2件の訴訟代理は、いずれもこの分野です。
やるかやらないかは別にして、司法書士として相談にすら乗れないというのはどうなのか?
これは、依頼者にとって敷居が低いリーガルサービス提供者である司法書士としてはどうなのか?
というわけで、認定考査に合格しておくことが依頼者サービスの観点からは正しいと思うのです。
認定考査そのものは難しくないのです。
記述式ですが、出題パターンは決まっています。しかも、範囲は典型契約だとわかっています。
普通の理解力があり、ちょっと勉強時間を確保すれば、司法書士なら誰でも合格できる問題です。
答えは出題された事例の中にすべて書いてあります。
これを抜き書きすれば答案はできあがります。だから難しくないのです。
しかも、絶対評価です。70点中40点を超えれば合格。全員合格もあり得ます。
現に、私の九州の同期合格者で認定考査を受けて落ちた人はいません。
要件事実論を学ぶことで、法律の理解はかなり深くなります。
訴訟代理や示談交渉の代理業務をやるかどうかは別にしても学ぶ意味は大きいのです。
そして、この試験のための勉強を通じて・・・
アンチョコ本では話にならず、「ちゃんとした本」が必要だと痛感する人もいるようです。
また、コピペをやっていては話にならないことに気づく人がいることもたしかです。
★ 典型的な「ちゃんとした本」である中田教授の「契約法」(有斐閣)
中田教授の「債権総論」(岩波書店)と共に、私にとっては辞書的な位置づけです。
上記の2冊は弁護士事務所でもよくみかけます。
尤も、普段の仕事でしばしば参照するのは「我妻・有泉コンメンタール」(日本評論社)です。
★ 「簡裁訴訟代理等関係業務の認定」は法務大臣名で行われます。
上川法務大臣(当時)の認定証書が左の写真。
右は成績通知書で、私は70点満点の59点でした。
この年の平均点は44.94点で、私は上から6番目の得点でした。
成績は希望者だけに通知されますので、希望しないつもりでした。
けれども、当日の出来がよく「60点を超えた」と思ったので通知を求めました。
結果は1点足りず、私の詰めの甘さを露呈する結果になりました。