我が国で起訴された場合の有罪率は99パーセント。
これにはカラクリがあります。
警察から事件の送致を受けた検察官の仕事が精密なのです。
確実に有罪判決を得ることができない限りは起訴しません。
検察官によるスクリーニングがきっちりできている。
その結果、裁判所は量刑認定機関として機能するような状況になっています。
肌理細かな捜査が尽くされた結果と評価できるかもしれません。
公判請求があるのは、送致された事件の40パーセント程度。
残りは起訴猶予か不起訴です。
40%の事件のうちの75%くらいは略式命令を求める事件。
以上からわかるのは、送致された事件の10%程度が本格的な公判で裁かれるということ。
ここまで「事前作業」がなされているので、有罪率は高くなります。
欧米では決してそうではなく、有罪の心証さえあればバンバン起訴します。
本格的な証拠の吟味は公判で、という扱いが多いのです。
そのかわりに有罪率が99パーセントなどあり得ません。
この違いはどこからくるのか?
おそらく我が国は「お上の裁きは正しい」という認識が定着しているのです。
だから「失敗」が許されません。緻密な検討をしたうえで起訴するのはそのためでしょう。
一方で、「逮捕」という捜査の手段を刑罰のように捉える感覚の人がかなり多い印象です。
また、とにかく「逮捕」ありきという姿勢の人も少なくないようです。
逮捕=身柄拘束は捜査手段としては例外。
逮捕は、人の自由を侵害する行為ですから、裁判所のチェックあってこそ可能。
気軽に逮捕したりはしません。「おまえ、ちょっと捕まえるから」みたいな警察官はいません。
基本は任意の出頭を要請して事情を聴取する。
犯罪が行われたことが確実になったところで身柄を拘束するパターンが多いのです。
その際に裁判所が発布するのが逮捕令状。
裁判所がチェックした結果、身柄拘束可というお札を出します。
ところが、ちょっとした事件でも世間では「早く逮捕しろ」という声が湧き起ります。
容疑者(犯人とは決まっていない)が逮捕されれば、治安は維持されるという感覚です。
欧米では起訴されても即犯人扱いしないのですが、我が国では逮捕=犯罪者みたいな感覚です。
これは有罪率99%がもたらす弊害かもしれません。
実際にはせいぜい10%しか起訴されていないことも世間に広く知らしめるべきではないのか?
民事しか扱わないのに、刑事法が今でも好きなワタクシはそう思ったりしております。
★ 「君の瞳をタイホする!」はなんと35年も前(つまり昭和)の刑事ドラマ
刑事ドラマといっても登場人物が警察官というだけでした。実際はラブコメです。
男性主演陣は陣内孝則・柳葉敏郎・三上博史
女性主演陣は浅野ゆう子・三田寛子
工藤静香さんも出演していました。そして、タレント時代の蓮舫議員(立民党)も。
写真は若き日の三上さん、陣内さんに柳葉さん(左から)。