ヤクザがその人権を否定されて結構な時間が経過しました。
いまだにヤクザの皆様は、暴対法について違憲であるという主張を法廷でしないまま。
お上に逆らえば、徹底的に潰されるという恐怖感からでしょうか。
世間でもヤクザ映画を白眼視する傾向が強まりました。
ヤクザ映画で成り立っていた東映は、故岡田裕介会長が
「今の時代はそういうのできんのよ」
と故松方弘樹さんが企画した「県警対組織暴力」の後日談の映画化を却下しています。
実現すれば、老境に入った松方さんと文太さんの遺児役の小栗旬さんの「対決」がみられたのに。
東映がこういう姿勢では、ヤクザというコンテンツは映像の世界ではもう使えない
―と思いきや、意外にもテレビドラマでは重宝されているのです。
仲間由紀恵さん主演の「ごくせん」
草彅剛さん主演の「任侠ヘルパー」
玉木宏さん主演の「極主夫道」
のように、ヤクザの世界はテレビドラマでは「好んで」使われるのです。
ドラマにおけるヤクザはコミカルに描かれ、どちらかといえば情に厚い「いい人」が多い印象です。
テレビドラマではヤクザの実像を描かずにちやほやしているように感じます。
世間ではヤクザというだけで人権を否定するのが当然のような雰囲気なのに。
なんとなくダブルスタンダードですね。
ちなみに、上記のドラマ3作品はいずれも人気が高く映画化に至っています。
コミカルなヤクザならOKということらしいのです。
★ 「ごくせん」第3シリーズから
「ヤクザが楽しい世界だと勘違いする人が出たら困るじゃないか!」という批判は起きません。
実録映画は陰惨で、「絶対あんなのにならんとこ」と思わせるに十分ですが、
やれ残酷だ、やれヤクザの美化だという批判が絶えません。
不思議です。
ハッキリしたのは、
世間が「ヤクザ」というコンテンツには敏感に反応し、興味を抱く
ということでしょうか。
★ 左は「任侠ヘルパー」 右は「極主夫道」の各一場面