「バカでなれず利口でなれず、中途半端はもっとなれず」
これは映画「修羅の群れ」で鶴田浩二さん演ずる横山新二郎のセリフです。
松方弘樹さん演ずる稲原龍二に説く「極道への道」。
作家の柚月裕子さんは東映やくざ映画の大ファン。
代表作となった「孤狼の月」の中にこのセリフをとりいれています。
このセリフはなんとなく私にとっては皮肉のように感じられます。
目指したものを簡単に諦め、中途半端な生き方を選んだことには後悔があります。
蝶の分布と生態の研究にのめり込んだのですが、これも中途半端で終わっています。
それなりの成果を得ると、「まあ、この辺でいいかな」と思ってしまうのです。
何事も中途半端にしてしまう。諦めてしまう。
このクセがついてしまったのは幼少期だと今ではわかっています。
なにかを望んでも、それを否定される環境でした。
そのうちに希望を口にしなくなり、心の中で諦める。
この繰り返しが今の私を作ったような気がします。
そこそこお勉強ができ、バカとはいわれませんでした。
でも、お勉強も「まあ、この辺で」という感覚で究めようとはしない。
だから、そこそこ利口なお子様でしかなかったのです。
つまりは、かなり中途半端なガキだったということです。
結局、自分が目指すものも勝手に諦め、いやいやサラリーマンをやりました。
年収は世間的にはかなり高めでも満足感は得られません。
企業での仕事にも意欲をもてず、そこそこで済ませました。
中途半端なのです。
だから、思ったような生き方はできない。
当たり前ですが、映画をみていると、冒頭のようなセリフが心に刺さってきます。
そのときは「いい映画に巡り合えたな」とちょっと幸福感を覚えなくもありません。
おまえは、どの道も極めていない。つまりチンピラクラスだ。
こう自覚させてくれるので。
そして、今はチンピラ上等だと思っているワタクシでございます。
★ 映画「チンピラ」
主演は柴田恭兵さんとジョニー大倉さん
ジョニーさんは亡くなりました。この頃のジョニーさんは映画で八面六臂の大活躍。
今見直してもジョニー大倉の役者としての輝きは色褪せません。