福岡県糸島市 司法書士 ブログ

やくざ映画と戦国時代

武将は組長

近頃の大河ドラマは演出が極端になり,主役の人物への「推し」が強くてお子様向けの印象です。

しかし,戦国時代が描かれる作品をみていると「これはやくざ映画だな」と感じるのです。

お子様がみていいものかどうか・・・(笑)

戦国時代は,武将が組長です。たとえば武田組の組長は武田晴信です。

若頭が板垣駿河守で,武田組のシノギは甲斐の国の農家からのみかじめ料が中心です。

「信濃やら上野の外道が攻めて来たらワシらが守っちゃるけぇ年貢を出しない」

という形で年貢を取り立てているのです。

土建業という正業もやっていて釜無川の河川改修をやっています。

「おやっさん,信濃のシマを手に入れんとワシら食えんようになります」

という若い衆の声に基づいて隣国に殴り込みをかけてシマを奪います。

実際に自国のシノギだけでは苦しいのです。

「よし!道具集めい!」

で出陣です。

晴信は

「おまえら,かまわんけぇ,ここらの田んぼをささらもさらにしちゃれい!」

と水田荒らしや城下町への放火をやらせます。

信濃の村上一家や小笠原組は越後にいる仁義に厚い侠客上杉景虎組長を頼ります。

「あんとなくされ外道にしごうしあげられて,こんなら黙っちょるこたぁないんど!

今に見ちょれ!ワシが晴信の外道を殺っちゃるけぇ!」

たとえば「風林火山」を「仁義なき戦い」風に書き換えるとこういう感じでしょうか。

御屋形様は強盗の頭目

実際に戦国時代の武将がやっていたことは隣国に強盗に出かけるようなことでした。

収穫を終えた頃を見計らって強奪に行くのです。

兵農分離以前ですから兵の多くは農民と兼業です(当時から兼業農家があった)。

豊かな隣国から米その他の食糧を奪い,人をさらって奴隷にしたりという時代でした。

この強盗の頭目としての機能を果たさない御屋形様は追い出されてしまいます。

武田信玄は優秀な強盗だったのです。愚連隊です。

一方で上杉謙信は強盗よりも商売でゼニカネをためました。こちらはテキヤ系です。

北前船の交易に課税し,それを資金源として「任侠の徒」を演じたのです。

信玄としては,自分は強盗だが謙信は侠客というのは面白くないでしょう。

それに交易は儲かるので自分もやりたいと思うのです。

甲斐には海がなく,信濃を奪っても海はありません。

駿河の今川家は縁戚なので襲うのは憚られます(一応は仁義を気にする)。

儲かっている越後のテキヤをやっつけてシノギを奪おう。こう考えたのではないでしょうか。

同じ清和源氏の流れをくむ若狭の武田氏が北前船の交易で儲けていたことも信玄に影響したと思われます。

謙信からみれば

「武田の愚連隊がワシらのような由緒正しいテキヤの真似をするいうんは百年早いわ!」

という気分だったかもしれません。

裏切り

光秀は考えます。

「この先,おやっさんについていってもワシは使い捨てにされるじゃろう。あんとなオヤジの下におって

仁義もクソもあるかい!よぉし!ワシが殺っちゃる!」

こうして光秀は織田信長総長を殺害します。

「ワシがええ組にするけぇ,みんなついてきてくれぃ」

と織田組の若い衆である細川藤孝などに声を掛けますが,

「こんなにはついていけんわい。親に弓引く極道がどこにおるんなら?」

と相手にされません。

「おやっさんが殺られた以上,ワシが仇を討たんと男が立たんのど!」

という秀吉により光秀が殺されます。

そして組の跡目を誰にするかを話し合う清州会議で信長の孫を担ぎ,自分が組の権力を握るのです。

それに異を唱えた若頭柴田勝家は最終的に羽柴組や丹羽組から的にかけられてしまいます。

継承者をめぐっての内紛と分裂など山口組と一和会の分裂騒ぎそっくりです。

勝利を収めた秀吉はもともと同じ織田組で同僚だった武将に盃を渡します。

こうして新たな巨大組織である豊臣会が誕生していくのです。

今も昔も争うのが好き

このようにみると,戦国時代はやくざの抗争と同じようなものでしかありません。

寧ろ,やくざがいまだに戦国ごっこをやっているということかもしれませんが。

ただ,ひとつだけ間違いないのは,人は争うことをやめないという点です。

以前にも書きましたが,これは人間が動物であることの証かもしれません。

争うことにより自分の勢力を広げる。これをやめることはできないのです。

国際社会もまたやくざ映画になぞらえるとわかりやすいと思います。

かつては米ソ抗争が続いており,ベトナムでは代理戦争が起きました。

今は米中の争いです。英国は老舗博徒で米国の五寸の兄弟。

我が国は一応カタギになっていますが,米国のフロント企業です。

インドあたりからは「アニキ,はよう極道に戻ってつかぁさい」といわれている状況です。

フロント企業とはいってもシマ(島)を持っている我が国を愚連隊上がりの組が狙っています。

さて,

「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」

できるでしょうか?

ワクチン確保などで手腕を発揮した菅首相が退陣するのは残念ですが,次の首相には

「国民の生命・財産を,我が国の国土を絶対に守り抜く」

ことを明確にするような方が選ばれれば,我が国はしばらくは安泰だと思います。

 写真は,大河ドラマとして最後に心から楽しめた「風林火山」

  および東映が山口組分裂を描いた「激動の1750日」から

ブログ一覧へ戻る

お電話

メール

ページの先頭へ
Loading...