4月に受任して応訴した貸金請求事件でしたが・・・
悔しいことに敗訴しました。
被告代理人としては消滅時効の成立を立証できるよう努力したのですが。
強制執行による時効の中断が認められてしまいました。
判決文を読むと、かなり無理をして事実を認定しています。
執行着手後に執行官が作成する書面と、執行着手を中止した書面が
「同一の日に作成されたとしてもおかしくない」
というのは、おかしいでしょう。
被告本人と話し合った結果、控訴はしないことになりました。
決着をつけてしまいたい、控訴しても逆転勝利が約束されているわけではない。
こういった理由から判決を受け容れることにしたのです。
とはいえ、転んでタダで起きたのでは私自身の交渉人としての沽券にかかわります。
判決額の3分の1くらいをカットした額で原告と和解しました。
本件訴訟は不思議な展開でした。
通常、裁判官は和解を勧告します。
本件は原告と被告の主張が真っ向から対立し、黒白をつけるべき事件でした。
仮に、裁判官が和解を勧告したら、それは
「被告さん、敗訴するよ。だからこの辺で手を打ちなさい」
という意味です。
被告本人にも事前にこの話をしておき、和解については「検討する」というスタンスでした。
ところが、裁判官は一度も和解を勧告しませんでした。
「もしかすると逆転したかな・・・」
と淡い期待を抱いたのですが、敗訴。
和解を勧告しなかったのは、被告側が強硬な姿勢で和解案を呑まないとみたためなのか?
裁判官にそれを訊ねることはできません。
なかなか珍しい体験をしたように思います。
私の訴訟における姿勢は、基本は「和解できるなら和解する」です。
和解は、当事者が自ら選択するもの。双方の当事者に納得感があるのです。
払う側(被告)も確実に払います。
判決だと「とれるもんならとってみぃや!」と開き直るケースも。
和解のよさを私はよく知っているつもりだったので、今回の展開には“?”を感じました。
救いは、被告本人が私の努力を評価してくれたことです。
これは、とても嬉しかったのです。
敗訴したことはやはり申し訳ないので救われた気分でした。
★ 福岡簡裁が入る裁判所の建物
色々なホームページをみると「お客様の声」や「選ばれる理由」には高い評価のコメントが載っています。
前にも書いたのですが、ホームページを運営する側にアップの選択権があるのです。
自分に都合の悪いコメントは載せないーこれが当たり前でしょう。
私は、敗訴したと書いてしまいましたが、これが「選ばれない理由」になるかもしれません。
でも、それはそれで仕方がないと思っています。敗訴は事実ですから。