容姿に優れ、人並外れて目立つ人。
俳優さんにはこういう人が多いです。
東京でみかけた三田村邦彦さんは本当にカッコよく、違う生き物のようでした。
健さんや文太さんは男らしさの象徴。
裕次郎さんは脚の長さ。
田宮二郎さんはスタイルも顔立ちも日本人離れ。
マイトガイ小林旭もそうです。
そして、彼らのような超二枚目俳優につきものなのが、
「演技はイマイチだけど、存在感がすごい」
のような風評。
本当にそうでしょうか?
上記の中で健さんは演技が非常に上手いことになっています。
けれども、長いセリフは苦手。
演じたのは常に「男高倉健」のパターンで主役ばかり。
上手いというよりも存在感が際立つ人でした。
その存在感が常人のレベルではなく神々しかったというべきかもしれません。
田宮さんやマイトガイは、容姿が優れている分、「あまりうまくない役者」扱いされる場合があります。
しかし、田宮さんの「白い巨塔」での演技をみると、あれは並みの役者にはできないレベル。
マイトガイにしても、微妙な表情の移ろいと視線ににじみ出る寂しさや優しさには凄みを感じます。
ああいう演技をできる人はそうそういません。
一方で、仲代達矢さんは常に名優の扱いを受けます。
が、セリフ回しはわりと一本調子で、それほど巧さを感じる役者さんではありません。
「青春の門」の伊吹重蔵役を初めてみたときに
「これ、健さんか文太さんが似合うんじゃないか?」
と思いました。
その後、東映がリメイクの際に、健さんにオファーして断られ、文太さんが演じています。
原作の五木寛之さんは、書いている時点で健さんをイメージしていたそうです。
仲代さん向きのキャラクターではありませんでした。
脇役の俳優さんは、容姿は個性的で演技はうまい。これが定説のようになっています。
本当にそうでしょうか?
長く脇役で活躍していると、すぐに「名優」扱いされます。
でも、みていると、いつも同じ表情で同じセリフ回しの「名優」もいます。
顔立ちが目立ち、雰囲気が独特。つまり、この人は存在感で生きるタイプなのです。
でも、世間は「上手い」といいます。
なんとなく、そういうステレオタイプの評価をするルールがあるようです。
近年、脇役に回って「名優」の評価を高めている草刈正雄さん。
若い頃は、とびぬけた容姿が目立っていました・・・が、クセが強い役に挑戦していました。
容姿だけで主役を張るのではなく、脇役として個性を発揮する努力をされていたようです。
そして、かなりお若い時期から非常に巧みな演技を披露されていました。
今の時代に生きる容姿も演技も優れた役者の代表格でしょうか。