福岡県糸島市 司法書士 ブログ

ビデオ遺言?

こういうご相談を受けました。

ある司法書士事務所に行って、自分の相続について相談をした。

そうしたら、「将来一番もめるパターンだ」と言われた。

「ビデオの遺言をしませんか?」と勧められた。

親族間では将来の相続について意見の一致をみている。

だから「もめるパターン」と言われたのは心外だった。

そのうえ「ビデオの遺言」などという聞いたことがないような話になった。

ビデオの遺言に法的効力はあるのか?

ビデオの遺言、なるほどな。

本人が、本人の声で喋っている。臨場感溢れることは間違いありません。

事務的な文章で書かれた遺言書よりも本物らしいイメージでしょう。

でも、法的にはなんの効力もありません。

遺言は書面でしなければ意味がないのです。

司法書士なら誰でも知っている常識。

条文にちゃんと書いてあります。

今やAIで岸田首相のニセの会見が作られ、フェイクニュースとして流される時代。

デジタル化推進とはいうものの映像遺言の有効性を認める機運は高まらないでしょう。

他の国では音声録音の遺言に法的効力を認める例があります。

しかし、音声も偽造できます。

そして、なによりも映像も音声も「編集」が可能なのです。

訴訟においても録音や録画以上に、その場で書いたメモの方が信用されます。

防犯カメラや交差点に設置された交通状況を録画するカメラの映像はまだしも、

本人が撮影したという時点で、編集を疑われるのです。

「電話で脅されたんです。でも録音とかしていなくて・・・」

「そのときにメモをとったりは?」

「あ、それはあるんですけど、走り書きで字は汚くて・・・」

「それで大丈夫ですよ」

こういうやりとりを相談者としたことがあります。

これは会社員時代でした。

このメモは、その後の示談交渉に威力を発揮し、相談者にとってよい結末をもたらしています。

どういう使い方をして威力を発揮させたか?

それは、とりあえず伏せておきますが、こういうものなのです。

話を戻して、ビデオ遺言に意味があるとすれば、相続人になる子供へのメッセージとして。

たとえば、

「お父さんはお前たちが子供で本当に幸せだったよ。ありがとう」

みたいな感じのものです。

以前の記事で述べた「手紙」の映像版として使うのです。

亡くなった父親が、目の前で喋っている。子供さんたちはおおいに感動するでしょう。

そういう心情面に訴えかける効果はあります。

けれども、それは直筆の手紙でも代替できそうです。

相談者の方は、「盛んにビデオ遺言を勧められた」といいます。

ビデオ遺言を一種の商品みたいにして報酬を得るようなことを司法書士がするだろうか?

ちょっと考え難いのです。

おそらく、

「子供さんたちにもめないようにメッセージを遺すのはいかがですか?」

という話だったのではないか?

私はそう思っています。

商品としてのビデオ遺言を売る司法書士ー品位保持規定に・・・

だから、何かの間違いだろうと思っているのです。

なお、「ある司法書士事務所」がどこの事務所かは聞いていないのでわかりません。

        映画「午後の遺言状」(1995年)

         左は文学座の大スター杉村春子さん / 右は新藤兼人監督の妻でもある乙羽信子さん

         本作は乙羽さんの遺作になりました。

 

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